ストリゴラクトン [Strigolactone]
分枝の抑制
最近いくつかの研究グループからたまたま同時に報告されたホルモン。カロテノイド誘導体のひとつ。なぜ最近になって発見されたかというと、質量分析やNMRなどの技術が発達してくれたおかげである。
地下部が栄養欠乏状態になると地上部へシグナルが輸送され分枝を抑制させる。最初は根寄生植物種子の発芽促進、あるいは菌根菌が利用する宿主植物への誘導物質として注目されていた。植物培養中にリンや窒素の濃度を低くするとストリゴラクトンの分泌量が増えることが判明したので、植物が菌根菌との共生を促進させているのだと考えられたが、それだけではなく「栄養があんまりないから、枝を調子に乗って増やさないようにしよう」という指令を出している可能性が見出された。
変異体を用いた研究結果から、カロテノイドから合成されている可能性アリ。生合成や枝分かれ制御についての詳細な機構は未だ明らかではないが、ごく最近D53、D14、D3といったタンパク質がストリゴラクトンと相互作用し、ユビキチン化によるD53の分解がストリゴラクトンシグナルの上流であることを示唆する報告がされている。この分解が他のホルモンと同様に遺伝子の発現を調節しているのか、あるいはさらに下流のタンパク質にシグナルが伝わるのかどうかは今後解明されていくだろう。