ジャスモン酸 [Jasmonic acid]
障害応答/果実成熟/休眠打破/落葉促進/発芽阻止
1971年カビから単離。脂肪酸の誘導体であり、αリノレン酸から合成される。AOS(アレンオキシドシンターゼ)による 12,13(s)エポキシリノレン酸への酸化が合成の最初の段階。ストレスを受けるとAOS活性が増加する。ストレス応答ホルモンのひとつであり主にエチレンと協力して耐ストレス反応を示す抵抗遺伝子発現シグナルとなる。遺伝子の発現はMYC2によるものだが、これはJAZおよびJAZを制御するCOI1に抑制されている。作用としては発芽を抑制したり根の生育を遅らせたり生長を止めたりなど。
傷害に対する抵抗性においてはかなり重要であり、JAが蓄積することで抗菌性タンパク(フィトアレキシン関連酵素など)の発現を活性化したりする。植物が障害を受けると、細胞中のリパーゼの活性が上がり、リノレン酸が増えることでJAが合成される。ジャスモン酸メチルとして気化することも可能であり、自身のみならず離れた場所の別の個体にもシグナルとして働くことができる。
傷害応答以外にも、「やく」の成熟にも必須のホルモンである。