エチレン [Ethylene]
果実成熟促進/老化促進/休眠打破/落葉促進
最初の発見者は1886年、サンクトペテルブルグの17歳の学生。1940年に生理作用が確認される。当時は研究者がみんなオーキシンに注目していたため、かなり軽視されていた可哀そうな子。でも一番ヒトに身近なのはこの子。構造的にもものすごく単純で今のところ唯一の気体です。
メチオニン回路より合成。ストレスを受けると(あるいはオーキシンにより)ACC(1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸)合成酵素のmRNA転写誘導を行う。SAM(S-アデノシルメチオニン)とACC合成酵素によりACCが合成され、それとACC酸化酵素により合成される。エチレン受容体ETRは応答を抑制しており、受容することでそれが解除され下流のCTR1やEIN3へとシグナルが伝わる。その結果酵素活性の向上、細胞老化、伸長停止、果実成熟等を促す。三重反応や上篇成長といったエチレン独特の応答も特徴的である。
植物どころかカビや細菌でも発現する。生物学に疎い人でも名前ぐらいは、っていう感じのホルモン。不用意にバナナをリンゴと一緒に保管しないようにしましょう。