オーキシン [Auxin]
伸長・発根・細胞分裂促進/単為結実/頂芽優勢
単離は1926年フリッツヴェントによる。L-トリプトファンから合成。インドール-3-酢酸構造。多種あるが天然ではインドール酢酸(IAA)が知られる。それ以外(2-4D、ナフタレン酢酸)は合成です念のため。
いわずとしれた元祖植物ホルモンであり、19世紀のダーウィンの光屈性実験はあまりに有名。極微量で活性を示し、高濃度では除草剤にもなる。細胞壁をエクスパンシンによりバキバキにすることで弛緩させ植物を伸ばすのが主な作用であるが、ユビキチン-プロテアソーム系により確立されるオーキシンの多様な作用は筆舌に尽くしがたい。適正濃度が苗で10のマイナス6乗M、根で10のマイナス8乗Mというように濃度で効果が変わったりするが、この濃度差を可能にしているのは、取り込みを行うAUX1、および取り出しを行うPINという特異的なタンパク質のおかげである。この極性輸送により、葉から全体への、及び芽から周囲細胞へのといったフレキシブルな転流が可能となる。この現象はモデルとしてよく研究されており、プログラム上でオーキシンの分布をシミュレーションすることも可能。
ちなみにIAAを過剰発現させるとエチレンの過剰合成が起こる。最近ではトリプトファンを介さない合成経路があるとかないとか。